専門家コラム
Expert Column

ウェブサービスやアプリを運営している中で、ユーザーからのクレームが発生する、ということはよくあることです。
その場合に、まずは「ユーザーとの契約」を見直すことになると思いますが、ウェブサービスやアプリでは、「利用規約」がユーザーとの契約に該当する場合がほとんどかと思います。
では、ユーザーからのクレームが発生した場合、利用規約のどのような点を見直すべきでしょうか。
以下、想定されるクレームとともに、例で見ていきたいと思います。

利用規約の見直し①ユーザー同士のトラブルへの対応

まず、多いと想定されるのが、ユーザー同士が交流したりマッチングしたり、というサービスを行う場合に、ユーザー同士でトラブルが発生するような場合だと思います。

このような場合に見直すべき利用規約はどういったポイントになるでしょうか。

このような規定の見直しがまず大事かと思います。

ユーザーの禁止事項に関する規定ですが、基本的には犯罪行為の禁止や権利侵害の禁止等一般的な内容のみならず、サービス独自の観点から、なるべく具体的かつ網羅的に記載しておくことは必要かと思います。事前に起こりうるトラブル、を思いつく限り挙げたうえで、それらを潰していくような規定を設けておく必要がある、ということです。

とはいえ、想定外のトラブルももちろんあるでしょうし、ウェブサービス上だと常識とかけ離れた行為・行動をとるユーザーもいることでしょう。
そのようなユーザーに対して、利用を停止する、登録を抹消する、といった規定をあらかじめ設けておくことは重要です。この場合も、禁止事項やその他の規定と連動した内容になっているかどうか、一方的すぎる内容になっていないか(例えば、いきなり登録抹消ではなく、事前に通知して是正を求める、といった対応をするか等)、という観点も大事となります。

利用規約の見直し②退会、料金表示、問い合わせ先の表示等

次に、考えられるクレームとしまして、以下のような項目が想定できます。

ウェブサービスやアプリ運営者としましては、なるべくユーザーに長く使ってもらいたい、より多く課金してほしい、という、当然の思いがある一方で、ユーザーからの個別のクレームや問い合わせに対応していくのは面倒なのでできるだけ少なくしたい、という思いもあると思います。
この点は、ユーザー視点も踏まえてのバランスが大事となります。

利用規約上で、退会方法や料金、問い合わせ先等に関する規定はあまり具体的に書かない場合が多いかと思います。ですので、上記クレーム例の内容と、利用規約の規定との関連性は少ない、とも考えられます。
ただ、例えば、退会方法について具体的に利用規約に盛り込むことで、利用規約に記載がある、という回答をすればよくなる、とか、利用料金未納のユーザーが退会によりその支払いを逃れることがないような規定をおく、とか、月の途中での退会の場合の支払いはどうなるのか、等、事前に利用規約に盛り込んでおくことで、退会に関するクレーム対応と自社にとってのリスクヘッジとを両立させていくことも可能になると考えられます。

また、ウェブサービスやアプリと、利用規約は一体のものとし、利用規約に具体的に記載がない料金表示等についても、変更があった場合の通知・通知方法や同意・受領したとみなす規定があることで、ユーザーからのクレームに対応できる場合もあると考えられます。

以上のような場合以外でも、個別具体的なクレームに対し、利用規約やそれと関連する規定等を見直す必要はあると思います。
また、他のコラム(利用規約によくある『本サービスを利用して生じた損害に関し一切の責任を負いません』は通じない?!)でも記載していますが、

自社にとって有利すぎる利用規約の内容では、消費者契約法等で無効とされてしまう

場合もあります。
こういった点も当サービスにご相談いただければ、最善・最良な記載の仕方、を一緒に考え、作り上げるお手伝いをさせていただきますので、迷われたらぜひ一度、お問い合わせいただければと思います。