専門家コラム
Expert Column

近年は、ユーザー同士がオンライン上で交流やマッチングをし、相互にメッセージを送ることができるようなサービスも増えてきております。それと同時に増えているのが、ユーザー同士のやりとりでトラブルが発生し、運営者にクレームが発生するような事例です。

人と人のコミュニケーションですので、オフラインでもオンラインでもトラブルが発生するのはある程度は仕方がない部分もあるとはいえ、運営者としてはクレーム対応はやはり面倒ですし、ほかのユーザーにも影響が出る、SNSで風評を書かれる、等運営上様々な支障が生じる可能性もありますので、なるべく防ぎたいところです。

このような場合に見直すべき利用規約はどういったポイントになるでしょうか。
以前のコラムでも記載したポイントがありますが、より詳しく見ていきましょう。

1、ユーザーの禁止事項に関する規定

まずは、ユーザーの禁止事項に関する規定です。犯罪行為の禁止や権利侵害の禁止等一般的な内容の掲載は必ず記載はされているかと思います。以下は禁止事項の記載例です。

オフラインであったとしても、各種法令に違反する行為や刑法犯に該当するような行為、損害賠償の対象となるような行為ですので、当然禁止する必要があります。

以上に加えて、提供しているサービス独自の観点から禁止すべき行為、も様々あります。この点は、提供するサービスの内容も踏まえ、なるべく具体的かつ網羅的に記載しておくことが必要となります。例えば、ID・パスワードを発行して利用していただくサービスで、個人情報を扱うサービスですと、以下のような項目の禁止の記載は重要となります。

さらに、オフラインであっても、一般的に相手方に示したら、不快と感じるような情報、というものもあります。そういう情報を相手方に提供・送信するような行為も広く禁止していく必要があります。

このように、事前に起こりうるトラブル、を思いつく限り挙げたうえで、それらを潰していくような規定を設けておく必要がある、ということです。具体的に記載しきれない場合に備え、

このような規定も必要になることが多いことでしょう。ただ、不適切と判断するのは当社であり、その基準はあいまいであるため、実際にはその有効性が問題となることもありえます。それでも、この規定があることで、迷惑行為・迷惑ユーザーに対し一定の抑止力となることもありますので、禁止行為として記載していくことは大事なこととなります。

2、ユーザーの登録抹消や利用停止に関する規定

上記のような迷惑行為・迷惑ユーザーに対し、有効的に対応する方法として利用規約上で記載しておいた方がよいと考えられるのが、ユーザーの登録抹消や利用停止に関する規定となります。

もし、対応方法を具体的に記載していない場合、禁止事項に違反したユーザーに対し、運営者として、民事上の債務不履行責任や不法行為責任を追及していく、ということになりますが、それはそれで確かに請求する権利はあるかもしれないが、果たして実効性があるのか、費用対効果は合うのか、といった点で疑問が生じます。

禁止行為に違反したユーザーやクレームを受けたユーザーに対し、ペナルティを与えつつ、提供サービスを引き続き利用していただくのか、それともサービスの利用を不可とするのか、の判断基準の一つとして、ユーザーの利用(アカウント)を停止する、といった規定や、登録を抹消する(強制退会)、といった規定を設けておくことが重要です。

ただ、この場合も、以下のようなポイントを押さえる必要があると思います。

とはいえ、繰り返しになりますが、人と人とのコミュニケーションですので、特にオンラインだと、想定外のトラブル・一般常識とかけ離れた行為・行動をとるユーザーもいます。ですので、完璧な利用規約、というものは存在しえませんが、運営側にとって、少しでもトラブルやクレームを軽減させることができるのが望ましい、と考えております。

もしご興味があれば、一度我々のサービスにお問い合わせ・ご相談いただければと思います。