-
- 2022年11月21日
- 提供サービスにユーザー間でのメッセージ機能がある場合の利用規約見直しの重要性とは?
近年は、ユーザー同士がオンライン上で交流やマッチングをし、相互にメッセージを送ることができるようなサービスも増えてきております。それと同時に増えているのが、ユーザー同士のやりとりでトラブルが発生し、運営者にクレームが発生するような事例です。
人と人のコミュニケーションですので、オフラインでもオンラインでもトラブルが発生するのはある程度は仕方がない部分もあるとはいえ、運営者としてはクレーム対応はやはり面倒ですし、ほかのユーザーにも影響が出る、SNSで風評を書かれる、等運営上様々な支障が生じる可能性もありますので、なるべく防ぎたいところです。
このような場合に見直すべき利用規約はどういったポイントになるでしょうか。
以前のコラムでも記載したポイントがありますが、より詳しく見ていきましょう。
1、ユーザーの禁止事項に関する規定
まずは、ユーザーの禁止事項に関する規定です。犯罪行為の禁止や権利侵害の禁止等一般的な内容の掲載は必ず記載はされているかと思います。以下は禁止事項の記載例です。
- 法令に違反する行為または犯罪行為に関連する行為
- 本サービスの他の利用者またはその他の第三者に対する詐欺または脅迫行為
- 公序良俗に反する行為
- 本サービスの他の利用者またはその他の第三者の知的財産権、肖像権、プライバシーの権利、名誉、その他の権利または利益を侵害する行為 等
オフラインであったとしても、各種法令に違反する行為や刑法犯に該当するような行為、損害賠償の対象となるような行為ですので、当然禁止する必要があります。
以上に加えて、提供しているサービス独自の観点から禁止すべき行為、も様々あります。この点は、提供するサービスの内容も踏まえ、なるべく具体的かつ網羅的に記載しておくことが必要となります。例えば、ID・パスワードを発行して利用していただくサービスで、個人情報を扱うサービスですと、以下のような項目の禁止の記載は重要となります。
- 他の利用者のIDまたはパスワードを利用する行為
- 第三者に成りすます行為
- 他の利用者の情報の収集 等
さらに、オフラインであっても、一般的に相手方に示したら、不快と感じるような情報、というものもあります。そういう情報を相手方に提供・送信するような行為も広く禁止していく必要があります。
- 過度に暴力的または残虐な表現を含む情報の送信
- 過度にわいせつな表現を含む情報の送信
- 差別を助長する表現を含む情報の送信 等
このように、事前に起こりうるトラブル、を思いつく限り挙げたうえで、それらを潰していくような規定を設けておく必要がある、ということです。具体的に記載しきれない場合に備え、
- その他、当社が不適切と判断する行為
このような規定も必要になることが多いことでしょう。ただ、不適切と判断するのは当社であり、その基準はあいまいであるため、実際にはその有効性が問題となることもありえます。それでも、この規定があることで、迷惑行為・迷惑ユーザーに対し一定の抑止力となることもありますので、禁止行為として記載していくことは大事なこととなります。
2、ユーザーの登録抹消や利用停止に関する規定
上記のような迷惑行為・迷惑ユーザーに対し、有効的に対応する方法として利用規約上で記載しておいた方がよいと考えられるのが、ユーザーの登録抹消や利用停止に関する規定となります。
もし、対応方法を具体的に記載していない場合、禁止事項に違反したユーザーに対し、運営者として、民事上の債務不履行責任や不法行為責任を追及していく、ということになりますが、それはそれで確かに請求する権利はあるかもしれないが、果たして実効性があるのか、費用対効果は合うのか、といった点で疑問が生じます。
禁止行為に違反したユーザーやクレームを受けたユーザーに対し、ペナルティを与えつつ、提供サービスを引き続き利用していただくのか、それともサービスの利用を不可とするのか、の判断基準の一つとして、ユーザーの利用(アカウント)を停止する、といった規定や、登録を抹消する(強制退会)、といった規定を設けておくことが重要です。
ただ、この場合も、以下のようなポイントを押さえる必要があると思います。
- 利用規約に記載されている禁止事項や他の規定と連動した内容になっているかどうか
- ユーザーが理解・判断できる内容・方法となっているか
(例えば、どのような行為だと強制退会となるのか、禁止行為に一つでも違反すると強制退会なのか、いついつまでに是正すれば許されるのか 等) - 一方的すぎる内容になっていないか
(例えば、いきなり登録抹消ではなく、事前に通知して是正を求める、といった対応をするか 等) 等
とはいえ、繰り返しになりますが、人と人とのコミュニケーションですので、特にオンラインだと、想定外のトラブル・一般常識とかけ離れた行為・行動をとるユーザーもいます。ですので、完璧な利用規約、というものは存在しえませんが、運営側にとって、少しでもトラブルやクレームを軽減させることができるのが望ましい、と考えております。
もしご興味があれば、一度我々のサービスにお問い合わせ・ご相談いただければと思います。