専門家コラム
Expert Column

あなたが運営しているECサイトを通じてお客様からご注文が入り、商品を丁寧に包装して、お客様の元へ発送、ご入金も確認し、無事に取引完了!!と安心してたところ、お客様から

『クーリング・オフしたい、返金して欲しい』

と連絡がありました。商品や契約内容には何の問題もないのに、です。対応しなくてはいけないのでしょうか?

「・・・・クーリング・オフ! 商品引き渡しから8日以内であれば、必ず返品に応じなければいけないと聞いたことがあるぞ。」

クーリング・オフという言葉を聞くと、そんな事が頭をよぎるかも知れませんね。
しかし、ご安心下さい。ECサイトなど通信販売の場合は、事前にしっかりと準備を行っていれば、このような事態に陥ることを防ぐことができます。

そもそもクーリングオフとは?

クーリング・オフとは、特定商取引法に定められたルールで、「契約から8日以内であれば消費者は事業者に対して書面によって、申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)が出来る」というものです。

ただし、このクーリング・オフのルールが適用されるのは “ 訪問販売 ” だけなんです!!

訪問販売では、不意打ち的な販売方法や勧誘によって”思わず契約してしまうことがある為、一定期間はもう一度選択し直せる機会を保障する為に、このような制度が設けられています。
このクーリング・オフは商品や契約内容自体に問題が無くても可能です。
特定商取引法のこの「訪問販売のクーリング・オフ」の規定は強行規定と呼ばれる規定ですので、例えば消費者と事業者が契約でクーリング・オフは出来ませんと定めても、法律が優先され、その契約内容は無効とされます。

“通信販売”では何に気をつけて準備をすればよい?

それでは、ECサイトなど“通信販売”に関してはどのように定められているのでしょうか?

特定商取引法において通信販売に関しては、まず「商品の引渡しから8日以内であれば消費者は事業者に対して、申込みの撤回や契約の解除を行うことが出来る」と、消費者の基本的な権利を定めた上で、「但し、事業者が申込の撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合にはこの限りではない」と定めています。
つまり、訪問販売のクーリング・オフとは大きく異なり、広告等に返品出来ないこと(返品特約)を表示すれば、申込の撤回や契約の解除の申出を受け入れる必要はなくなる訳です。

『返品』についてどのように表示すべきなのか?

とは言っても、返品特約の表示が、消費者の目に触れにくかったり、分かりにくかったりすると、トラブルになることは容易に想像できると思います。
この表示方法については、国からガイドライン(「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」)が出されており、「顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法、その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」等と定められているほか、消費者が”認識しやすい表示”とはどのようなものか、逆に、”認識しにくい表示”とはどのようなものであるかについて、広告媒体ごとに、具体的な例が示されています。

ここでインターネット広告について推奨されているのが、ご利用ガイド(利用規約等)に明記した上で、商品の紹介ページや取引ページから利用規約にリンクで誘導或いは利用規約をポップアップさせるという方法です。
ECサイトの利用規約に「返品特約をしっかりと定め、お客様の目に触れる環境を整えて、同意を得る」という手続きがとても重要であることがお分かりいただけると思います。 
DOUII(ドウイ)では、利用規約の見直しを都度行うことでトラブルを事前に防止するお手伝いをしております。ぜひ一度ご相談ください。