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- 2022年09月21日
- 同意を得ずにユーザーから収集したメールアドレスにメルマガを配信した場合のリスクとは?
メルマガは有効な販促方法として定着しており、事業者の皆様は、自社の優れたサービスや情報を発信する為に、様々な工夫を凝らしてメルマガを定期的に配信されていると思います。
もし同意を得ずにユーザーから収集したメールアドレスにメルマガを配信してしまったらどんなリスクが潜んでいるのでしょうか?
法的にどうしたらメルマガ配信していいの?関係する2つの法律
個人情報保護法は全ての事業者を対象に個人情報の適切な取り扱いを定めた法律であり、その中で、個人情報を取り扱う事業者には、取得する個人情報の利用目的の通知又は公表、或いは契約書等への明示が義務付けられています。そして、目的外に利用する場合については、あらかじめ本人の同意を得なければならないと定められています。
ん?ということは、
「プライバシーポリシーに、利用目的として「メルマガを配信します」と書いて公表しておけば個別の同意は必要ないのかな?」
と一瞬考えてしまいますよね?
でも、ユーザーの立場で考えてみて下さい。
「あるサービスを利用する際にメールアドレスを登録したら、利用目的に細かい字で「メルマガを配信します」と書いてあった様で、頼みもしないのにメルマガがジャンジャン送られて来る。」こんなことが当たり前だったら困りますし、そのサービスを提供する企業に対して大いに不信感を持つことになると思います。
そこで、メルマガを送る際に特に気を付けて頂きたい法律をもう一つご紹介します。
「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」です。
「迷惑メール防止法」と呼ばれることもあります。
まず、この法律の対象ですが、広告宣伝のために送信される電子メール全般が規制対象となります。当然メルマガも対象です。
そして、このようなメールを送信する事業者に課せられる重要な義務が以下の3点です。
- 受信者の事前の同意が必要(オプトイン方式)
- 受信者がいつでも受信拒否・配信解除できる
- 表示義務に則った配信解除方法や問い合わせ先の表示
個人情報保護法では、利用目的については通知・公表が求められていますが、特定電子メール法では更に一歩踏み込んで、
- 必ず同意を得た上で配信すること、
- さらに何時でも容易に受信拒否が出来ること
が求められている訳です。
この“同意”に関しては、例外として、
- 「既に取引関係にある相手に送信する場合」
- 「名刺交換した相手のメールアドレスに送信する場合」
- 「自己の電子メールをインターネットで公表している者に送信する場合」
などが定められ、同意なしに送信することが出来る場合があるとされています。
しかし、上記に該当しても「通信販売など特定商取引法が適用される場合」は承諾なしに送信することは出来ませんし、公表されているアドレスでも”広告宣伝メールお断り”が付記されている場合などは送信することが出来ません。
やはり、例外だから認められると安易に考えずに慎重な対応を行い、出来ればメルマガ配信についての同意を得る必要があると考えられます。
違反すると罰金や損害賠償の可能性も!!
違反した場合、総務大臣及び内閣総理大臣による改善措置命令が行われ、措置命令に従わなかった場合は罰金が課せられる事になります。
また、相手方から損害賠償請求の訴訟を起こされる可能性もあります。
ただ、法律違反のリスクは罰則や訴訟だけではありません。このような違反が公表され、拡散することで、企業自体が社会的信用を失ってしまう可能性があります。
メルマガ配信について、特定電子メール法に違反しない為には、
- まずはプライバシーポリシーの個人情報の利用目的に明記して、
- 他の同意事項と併せて、メルマガ配信の承諾を得ておくこと
が重要です。
また、特定電子メール法は非常に改正の多い法律ですが、このような法律については、法改正を的確に把握し、タイミングを逃さず利用規約やプライバシーポリシーに反映していくことも重要となります。
自社の優れたサービスを伝える為に日々発信するメルマガが、逆に、企業の社会的信用を損ない、一人またひとりと大切なお客様を失うようなことにならない様に、法律を踏まえた適切な方法で対応して行かなくてはなりません。